2020年6月23日のニュースで
『JR新宿駅前に現れた謎の鳥』について話題になり、
Twitterでも絶滅危惧種である「ミゾゴイ」ではないのか?
などというコメントが寄せられていました。
結果このニュースになっていた鳥は、
絶滅危惧種に指定されている「ミゾゴイ」という鳥だ
ということがわかりました。
今回、この記事では、
そんな絶滅危惧種の「ミゾゴイ」について
どんな特徴があり、どんな生態なのかを紹介したいと
思います。
絶滅危惧種「ミゾゴイ」とは?
「ミゾゴイ」とは、分類はペリカン目サギ科ミゾゴイ属
のミゾゴイに分類されます。
別名「ヤマイボ」や「ウメキドリ」「ウシドリ」など
方言や呼び名があります。
「ミゾゴイ」という名前の由来は、容姿や色が
「ゴイサギ」の幼鳥によく似ていることから
名付けられ、「ミゾ」は小川という意味があります。
1980年代以降生息数は激減し、現在の世界での
生息数は1000羽以下と発表されています。
国際自然保護連合(IUCN)による
レッドデータブックでは、7段階あるうちの
下から4つ目の「EN」にあたり、
「EN」は「Endangered」の略で「絶滅危機」という意味で
「絶滅危惧IB類」に指定されています。
「ミゾゴイ」は、東南アジアの森林に棲む水鳥の
一種で、台湾、中国南東部、フィリピンなどの
低平地に生息し、毎年4月になると日本にやってきて、
沖縄、九州地方、本州地方、伊豆諸島などで見られます。
ミゾゴイの特徴
「ミゾゴイ」はオスとメスの大きさには大差はなく、
体長は約50cm、体重は約500gほどで、
翼開長は約90cmあります。
頭の部分は赤黒い褐色で、体の上部は濃い赤色で、
下の方にいくにつれて淡い赤色になります。
そして、のどから胸にかけて縦に黒いラインが
入っています。
サギ科ということもあり、目つきがとても鋭いです。
ヒナは、大人の「ミゾゴイ」とは少し違い、
少し青みがかった体色をしています。
また、鳴き声も特徴的で、普段は天敵から逃れるため
鳴きませんが、繁殖期の夜の数日だけ、
パートナーを探すために鳴きます。
その鳴き声は、「エボ~エボ~」や
「ボ~ッボ~ッ」と低い声で唸るように鳴きます。
その鳴き声から「ウシドリ」「ウメキドリ」などの
呼び名が生まれました。
現地では、不気味な鳴き声から妖怪がいると
思われていていたそうです。
「ミゾゴイ」の生態
「ミゾゴイ」の生態は、昼夜問わず行動しており、
肉食性で主にミミズ、小魚、昆虫など比較的小さい
生き物を狙って捕食しています。
獲物を探すときは地上に降りて、
胸をクネクネさせながら歩く姿が観測されており、
詳しくはわかっていない行動ですが、
天敵であるカラスや猛禽類から身を守るために
ヘビに擬態しているのではないかと推測されています。
また、木の上では木の枝に擬態することもあり、
危険を感じ取ると首を垂直に思いっきり伸ばして、
じっとしその場をやり過ごすということをします。
生まれたばかりのヒナにもこの擬態が身に付いていて、
自分自身で身を守ることができます。
繁殖期は5月~7月で、繁殖するために日本に
渡来してきて、冬になると東南アジア諸国に
帰っていきます。
「ミゾゴイ」がなぜ繁殖地に日本を選ぶのか
というと、「ミゾゴイ」の天敵であるヘビが少なく、
他の国に比べて気温が低くヘビの動きも鈍く、
安全に子育てに専念できるために、繁殖地を
日本に選んでいます。
太い木の上に、木の枝を組み合わせた巣を作り、
卵を3~4個産み、約1か月ほどオスとメスが
交互に卵を温めあいます。
そして、卵から孵っても、オスとメスは交互に
ヒナに付きっ切りで見守ります。
ある程度成長すると、前述にもあるように木に
擬態する技術を体得します。
そして、孵化から約1か月半くらいで
巣立っていきます。
「ミゾゴイ」が絶滅危惧種になった最大の理由
「ミゾゴイ」が絶滅危惧種に指定された最大の理由は、
冬を過ごす東南アジアでのパーム油の生産の
増大による森林破壊が進んでおり、
熱帯林の減少の一途を辿っています。
また、ごみの不法投棄も増加しており、世界的にも、
「ミゾゴイ」が棲みづらい環境に変化しています。
このままだと間違いなく「ミゾゴイ」は
絶滅してしまうでしょう。
まとめ
- 「ミゾゴイ」は、ペリカン目サギ科ミゾゴイ属のミゾゴイに分類される。
- 名前の由来は、容姿や体色が「ゴイサギ」の幼鳥に似ていることが由来している。
- IUCNによるレッドデータブックでは「EN」にあたり、絶滅危惧IB類に指定されている。
- 冬の間は東南アジアであるフィリピンや台湾などで冬を過ごす。
- 4月になると繁殖するために日本に渡来し、沖縄、九州地方、本州地方、伊豆諸島などで見られる。
- 体の大きさ、重さともにオスとメスに大差はない。
- 頭部は赤黒い褐色で、体は上部から下部にかけて濃い赤から淡い赤になっている。
- のどから胸には黒い縦のラインが入っている。
- ヒナは青みがかった体色。
- 繁殖期の夜間数日だけパートナーを探すために鳴く。
- 独特鳴き声で「エボ〜」や「ボ〜ッ」と鳴く。
- 鳴き声から「ウシドリ」「ウメキドリ」とも呼ばれる。
- 食性は肉食性で小さい生物を食べます。
- 体をくねらせてヘビに擬態したり、首を伸ばして木の枝に擬態したりしする。
- 日本は天敵であるヘビの動きが夏は鈍く、気温も子育てに向いている。
- 親鳥は子育て熱心でオスとメス交互に卵を温め、孵化後も交互に敵から守る。
- 絶滅危惧種に指定された最大の理由は、冬を過ごす東南アジアの森林破壊やごみの不法投棄が原因。
ということで
今回は、
絶滅危惧種に指定されている「ミゾゴイ」について
特徴や生態を紹介しました。
今後、人間が森林破壊やごみの不法投棄を
やめない限り「ミゾゴイ」は絶滅の危機は
免れないでしょう。