最近小学生や幼い子どもが線路への置き石による
脱線事故が増加しています。
置き石による脱線事故とは、
果たして、どんな罪になり、罪の重さは
どれくらいになるのかを紹介したいと思います。
前置きしますが、線路への置き石は立派な犯罪行為ですし、
場合によっては鉄道会社、遺族への賠償責任を
取らなければならないこともあり得ますので
くれぐれもしないようにお願いします。
線路への置き石とは?
置き石とは、意図的に線路や道路に、
石やコンクリートブロック、レンガなどを置くことです。
列車を脱線させる目的で置き石することもありますが、
最近のニュースのように幼児や児童の興味本位での
イタズラによる置き石の可能性もあります。
また、すべてが人がやったものとは限りません。
カラスが線路上に石を置くということも充分にあります。
しかし、人がやったのとカラスがやったのとでは
大きく異なり、人がやったとなれば、
これは犯罪にあたります。
置き石による罪「列車往来危険罪」とは?
それでは、置き石はどういう罪になるのでしょうか。
「列車往来危険」とは、
『列車の脱線、損傷、衝突などが生じる恐れのある状態』であり、
「往来危険罪」は、刑法125条の1項にあたります。
鉄道もしくはその標識を損壊し、またはその他の方法により、汽車または電車の往来の危険を生じさせた者は2年以上20年以下の有期懲役に処する
(Wikipedia『往来危険罪』より抜粋)
という刑になります。
「往来危険罪」に似た刑罰に刑法124条の1項に
「往来妨害罪」という罪があります。
この罪は
陸路、水路または陸橋を損壊し、または閉鎖して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処する
(Wikipedia『往来妨害罪』より抜粋)
とあります。
見てわかるように、「往来危険罪」が
どれだけ重い罪かがわかると思います。
また、置き石による脱線事故での
「死刑」の事例もあがっています。
脱線事故による死亡者が出た場合、
死刑になる可能性も充分にありえます。
そうなれば、「往来危険汽車転覆等罪」に問われ、
『3年以上の懲役または無期懲役』
死者が出れば、『無期懲役または死刑』
にまで引き上げられます。
なぜこのように罪が重いのでしょうか。
普段通勤、通学または買い物、旅行などで
多くの人が移動手段として電車を利用する人がいます。
万が一、置き石による脱線事故が起きると
何十人何百人もの人の命が危険にさらされる可能性があり、
このような行為を意図的に行った場合は、
厳罰に処する必要があるからです。
また、このように重刑罪に定めておけば、
置き石などの犯罪防止にも繋がっているのです。
自分の子どもが置き石をした場合
子どもが刑事未成年である14歳未満であれば、
処罰はされませんが、
保護者である親が損害賠償責任を
負わなければならない可能性も充分にあります。
国土交通省による
『平成28年鉄道車両等生産動態統計年報』によれば、
近年の鉄道車両の価格は
1車両あたり9,000万円〜1億円ほどし、
脱線事故ともなれば、3両4両または、
全車両ともなれば、何十億もの損害賠償請求がされ、
家庭崩壊にも繋がりかねません。
なので、通学途中に踏切や線路が近隣にある場合は、
自分の子どもには、しっかりと教えておくべきです。
まとめ
- 置き石による脱線事故は「列車往来危険罪」や「汽車転覆等罪」に問われる。
- 「列車往来危険罪」は2年以上20年以下の懲役。「汽車転覆等罪」は3年以上の懲役または無期懲役。
- 脱線事故による死者が出た場合、無期懲役または死刑にもなる。
- 刑事未成年である14歳未満であれば、処罰されることはないが、監督責任のある親が損害賠償責任を負わされる可能性があります。
ということで、
ぜひ、近隣や通学途中に踏切や線路などがある場合は、
この記事をきっかけに、今一度、家族会議を
していただきたいと思います。