大河ドラマ「麒麟がくる」や織田信長を死に
追いやった本能寺の変でも有名になった明智光秀が
築いた城は福知山城です。
今回は、その福知山城の石垣について
福知山城の石垣は墓石でできている?
なぜ、福知山城の石垣に墓石を使ったのか?
また、石垣に墓石を使ったお城は日本に存在するのか?
などについても紹介していきたいと思います。
福知山城の石垣は墓石でできているのは本当?!
1579年に築かれた福知山城の石垣には墓石が
使われていることは本当でした。
このような石垣に使われている墓石を「転用石」と
呼ばれ、福知山城の石垣には、約500点以上もの
「転用石」が使われていると現地の再建時の
発掘調査により発見されました。
その中には墓石だけでなく、
宝篋(ほうきょう)印塔の基礎、五輪塔の基礎、
一石五輪塔の基礎、石仏、石棺、
笠塔婆(かさとうば)、石臼などが使われています。
これらの転用石は、多くの寺院や墓所を破壊し、
石垣の石材として調達したと考えられます。
転用石で一番使われているのは、
五輪塔基礎の全体の約70%が使われており、
次に宝篋印塔基礎の全体の約10%が使われています。
その他は、石仏であったり、墓石であったり、
石棺などが用いられています。
なぜ、石垣に墓石を使うのか?
通常、石垣は、
「野面積み」
「乱石積み」
「穴太積み」などの自然の石を、
そのまま使ったり、加工して使ったりします。
しかし、なぜ、福知山城は
石垣に墓石などの転用石を使ったのでしょうか?
それには、いくつかの理由があります。
徳川幕府の命令によって築かれるお城の場合は、
各地の大名が自国の石垣用の石材を
陸路や海路を使って運ぶことがあります。
しかし、築城予定地の近場に石切場がなかったり、
石切場があったとしても産出量が不足していたり、
築城が急いでいた場合には
そこら辺にある石をかき集め、
石垣に組み込むこともあるようです。
そのため、石でできている墓石や石仏、石棺を
持ってくるのです。
また、現在では石仏や石棺、墓石などには
手を合わせたり祈りの対象となっていますが、
当時の武将たちにとっては
ただの石材の一つであったのです。
しかし、石仏や墓石などの石をただ単に石材とは
考えておらず、お城を呪術的に守護するという
意味合いがあるため、敢えて石仏や墓石を使う
武将もいたそうです。
また、これらの転用石は内部に使われる訳ではなく、
敢えて目立つようなところに使用されています。
このことから敵将の墓石を使うことで、
自分の権力を誇示するためであったり、
石材を提供してくれた領民や持ち主への感謝を
示すためとも考えられています。
明智光秀はなぜ、転用石を使ったのか?
明智光秀がなぜ、転用石を使ったのかは
定かではありません。
恐らく、明智光秀は短時間で築城しないと
いけなかったため、ただ単に石材不足を補うために
周辺の神社仏閣から石材を集めた。
新城主であるため明智光秀に従わない寺社勢力を
屈服させるためだとも歴史学者たちは推測しています。
明智光秀にまつわる古文書には、
明智光秀は反抗する寺社勢力に対して建物を破壊し、
石塔を引き倒して石垣の石材に充てた。
と記されています。
石垣に墓石を使った城は日本に存在するのか?
福知山城以外にも石垣に転用石が用いられている
お城は日本には多くあります。
福知山城も多くの転用石を使っていますが、
奈良県の大和郡山城が最も多くの転用石が
使われています。
有名なもので天守台の石垣にある「さかさ地蔵」と
呼ばれている転用石です。
その名の通り、地蔵が逆さまに入っています。
また、かつての都であったことを象徴するかのように
平安京羅城門の礎石や梵字や模様が刻まれている
石材などが天守台だけでなく、お堀の石垣などにも
使われています。
他にも巨大な石垣を持つ高取城にも転用石が
使われています。
兵庫県の姫路城では、石棺の使用量が多く、
明石城や篠山城、有岡城にも当時の石垣が
あまり残っていませんが、わずかに転用石を
見ることができます。
また、織田信長が築城した安土城にも転用石があり、
石垣ではなく、石畳に石仏や五輪塔などが見られます。
熊本城でも熊本地震で崩れた石垣の中から観音像が
刻み込まれた転用石が発見され、多くの研究者の中で
話題になっていました。
まとめ
このような墓石や石棺などで建物の基礎を
作っているのは、世界では日本だけということも
わかりました。
転用石が使われ出したのは、
戦国時代・江戸時代の頃からで、
以前までは切り出した石材を使っていたそうです。
現在の感覚では、墓石や石仏などを潰して
石垣の一部にしてしまうなんてことは
「なんてバチ当たりな!」
と思ってしまうかもしれませんが、
当時の築城には当たり前のことでした。
お城巡りをする際には、
豪華絢爛なお城を見るのも良いですが、
少し目線を落としてお城を支えている
基礎の部分である石垣にも
目を向けてみてはいかがでしょうか?
こんな所にもこんな所にもと
新しい発見があるかもしれません。